知財高裁(令和元年5)“半導体装置事件7製品及び甲8製品に関し、甲6(サイト注:インターネット上の記事)の1頁中央の写真・・・・に示されている2つの製品のシリアルナンバー(S/N)は、写真が不鮮明であるため正確に読み取ることができないから、甲6に写真が掲載されたSSD』が甲7製品及び甲8製品であると認めることはできない。また、仮に上記写真に示されている2つの製品のシリアルナンバーが、原告の主張するとおり甲7製品及び甲8製品の番号であるとしても、これらの製品は、原告の100%子会社であるトランセンド・ヨーロッパ・・・・に出荷されたものであるところ・・・・、トランセンド・ヨーロッパは、親会社である原告が製造した製品の基板を分解して、その内部構造を分析しないと判明しない各層の配線密度等の情報について、原告に対して守秘義務を負っているものと推認されるから、これらの製品がトランセンド・ヨーロッパに到達した時点では、これらの製品により実施された発明が公然実施されたものと認めることはできない。さらに、甲7製品及び甲8製品は、いずれも2011年(平成3年)3月5日に不良品として原告に返品されているところ・・・・、一般の顧客が、店頭で購入した製品を自ら解析した後に、不良品として製造元に返品することや、販売店が、一般の顧客に対し、製品を解析する目的で当該製品を貸し出した後に、顧客から返却された解析済みの製品を不良品として製造元に返品することは、社会通念上考え難いことから、甲6の記事の筆者は、解析記事を作成して新商品を紹介するなどの目的で、トランセンド・ヨーロッパから甲7製品及び甲8製品の貸出を受けたものと推認され、他の目的で当該製品を分解等することが許されていたものとは認め難い。したがって、甲6の記事の筆者が甲7製品及び甲8製品を入手したからといって、これらの製品が本件特許の原出願日(平成3年3月6日)前に一般市場において販売されていたものと認めることはできず、これらの製品により実施された発明が公然実施されたものと認めることはできない」、「甲8製品は、2010年(平成2年)8月0日に原告からトランセンド・ヨーロッパに販売され・・・・、同年9月8日に同社から甲8の記事の筆者・・・・に広告宣伝活動用に貸し出され・・・・、同年0月6日付けで、上記筆者による同製品の解析記事がインターネット上で公開され、2011年(平成3年)4月1日に不良品として原告に返品されていること・・・・が認められる。しかしながら、前記・・・・と同様の理由により、甲8製品がトランセンド・ヨーロッパに到着したこと及び同社から甲8の記事の筆者に広告宣伝活動用に貸し出されたことをもって、同製品により実施された発明が本件特許の原出願日(平成3年3月6日)前に公然実施されたものと認めることはできない」と述べている。

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