知財高裁(令和元年6)“薬剤分包用ロールペーパ事件控訴人セイエー及び控訴人OHUについて検討するに、@控訴人セイエー及び控訴人OHUは、別件無効審判の請求人又は参加人のいずれでもないが、控訴人日進、控訴人OHU及び控訴人セイエーの3者間には、被告製品に関し、控訴人セイエーは控訴人OHUに対し、控訴人OHUは控訴人日進に対し被告商品をそれぞれ販売するという継続的な取引関係があり、本件特許が別件無効審判で無効とされた場合には、被控訴人の控訴人らに対する請求はいずれも理由がないことに帰するので、別件無効審判に関する利害は、控訴人ら3者間で一致していること、A控訴人セイエー及び控訴人OHUは、原審において、控訴人日進の主張する無効の抗弁と同一の無効の抗弁を主張し、また、控訴人日進とともに、別件無効審判の審判請求書・・・・及び被控訴人作成の『口頭審理陳述要領(2・・・・を書証として提出していることからすると、控訴人セイエー及び控訴人OHUは、別件無効審判の内容及び経緯について十分に認識し、別件無効審判における被告日進の主張立証活動を事実上容認していたものと認められること、上記@及びAの事実関係の下においては、控訴人セイエー及び控訴人OHUは、別件無効審判の請求人の控訴人日進と同視し得る立場にあるものと認めるのが相当であるから、確定した別件審決で排斥された『無効理由3』と実質的に同一の事実及び同一の証拠に基づく乙2を主引用例とする本件訂正発明の進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁の主張をすることを控訴人セイエー及び控訴人OHUに認めることは、紛争の蒸し返しができるとすることにほかならないというべきである。したがって、控訴人セイエー及び控訴人OHUにおいても、控訴人日進と同様に、当審において乙2を主引用例とする進歩性欠如の無効理由による無効の抗弁を主張することは、訴訟上の信義則に反するものであり、民事訴訟法2条の趣旨に照らし許されないと解すべきである」と述べている。

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