東京地裁(令和元年8)“屈折計事件乙2公報及び乙3公報には、臨界角点を求めるために重心位置を求めた上で、定数Cを加算するという式(2)についての開示又は示唆も存在しない。この点、被告は、式(2)は較正のための式にすぎず、計測機器の使用に際して較正を行うことは、本件発明の出願当時、計測機器の分野における周知の技術であったと主張する。しかし、本件発明は、式(1)により光量分布曲線の一次微分曲線の重心位置を求めた上で、式(2)により式(1)で求められた重心位置に定数Cを加算することで、臨界角点cをより正確に求めることができるという技術的意義を有するものであ・・・・り、式(2)が単に較正のための式にすぎないとの被告の主張は採用し得ず、重心位置に定数Cを加算することで臨界角点をより正確に求めることができることが本件特許出願当時の技術常識であったと認めるに足りる証拠もない。そうすると、乙2公報及び乙3公報には式(2)についての開示又は示唆も存在しない以上、乙2発明に乙3発明を組み合わせたとしても、本件相違点に係る構成には至らないというべきである」、「したがって、当業者が乙2発明、乙3発明等に基づき、本件相違点に係る構成を容易に想到し得たということはできず、本件発明が進歩性を欠如しているとの被告の主張は理由がない」と述べている。

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