大阪地裁(令和元年9)“棒状フック用のカードケース事件原告扶桑産業は、資本金の額を2500万円とする会社であり、その従業員数は0名程度である。そして、原告扶桑産業は、店装用備品等の企画、製造販売、陳列器具及び店舗什器関連備品等の製造販売等を事業品目とし、全国スーパー量販店備品卸売業者、全国インテリア装飾・店装業者等を取引先としている。そして、原告製品については、被告や他の企業に対して卸売販売され、そこを通じて小売量販店に販売された(量販店の各店舗に設置された)ほか、原告扶桑産業から直接、株式会社サンリオの直営店等の量販店に販売されることもあった」、「被告(サイト注:アイリスオーヤマ株式会社)は、資本金の額を1億円とする会社であり、その従業員数は3000人程度で、平成8年度の売上高は1220億円(グループ全体で3460億円)であり、平成0年から東北楽天ゴールデンイーグルスのメインスポンサーとなっている。そして、被告は、生活用品の企画、製造、販売を事業内容としており、販売している商品は、LED照明、家電、調理用品、日用品、収納用品、ハードオフィス・資材等多岐に渡っており、被告のこれらの商品は全国のホームセンターで販売されている」、「被告が販売している什器は多岐に渡っており、また量販店等の店舗向けに、什器・備品を単体で販売するのではなく、内装工事を含め、店舗全体又は売り場全体の什器・備品を総合的に販売することも行っていた。そして、・・・・被告製品は、その大半が他の店舗用品と組み合わせて販売されるいわゆるバンドル取引によって販売されていた。しかも、・・・・そのようなバンドル取引の取引額に占めるカードケースである被告製品の販売額はわずかであったと認められる。このような被告製品に係る取引の実情によれば、被告製品の需要者の大半は、カードケースである被告製品に殊更に注目して被告製品を購入したというよりも、他の店舗用品と組み合わせて購入できる利便性や、内装工事を含めて店舗全体又は売り場全体の什器・備品を総合的に購入することができるという被告の販売体制に魅力を感じて、被告と取引をするに至り、その取引の一環として被告製品を購入したと認めるのが相当である」、「そうすると、被告主張の事情は、侵害者である被告が得た利益と特許権者である原告扶桑産業が受けた損害との相当因果関係を相当程度、阻害する事情といえる」、「また、・・・・被告が被告製品を販売するに当たり、被告自身の販売力や企業規模、ブランドイメージか需要者に与えた影響も小さくないものというべきである。したがって、この事情も、上記・・・・の事情と相まって、侵害者である被告が得た利益と特許権者である原告扶桑産業が受けた損害との相当因果関係を一定程度、阻害する事情といえる」、「本件では前記・・・・の事情を推定覆滅事由として考慮すべきところ、・・・・6割の限度で推定が覆滅されると認めるのが相当である」と述べている。

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