東京地裁(令和元年9月11日)“アンテナ事件”は、「被告製品の突出部が『給電用』の部材であるかどうかに関し、原告は、『〜用』という表現は、その物が当該用途で実際に使用されていなくとも、当該用途で使用するのに適した形状等を備えている場合にも広く用いられるので、被告製品の実装時に給電線を通すのが突出部の空洞とは別の穴部であるとしても、『給電用』との構成を充足すると主張する。しかし、『給電用筒状部』とは、その文言の通常の意味に照らして、『給電』に『用』いられる『筒状部』と解するのが自然であり、本件明細書・・・・にも『給電用筒状部11は前記回路基板及びアンテナ素子部に接続する図示しない給電線(同軸ケーブル等)を通すために中空である。』と記載され、実際に給電線を通すことが前提とされている。上記・・・・によれば、『給電用筒状部』とは、給電線を通すために用いられるものであり、給電線を通すことができるものであれば足りると解することはできない。原告の主張によれば、給電線を通すことができる形態を持つ部材は、それが電力を供給する機能や目的を有しなくとも、すべて『給電用』に当たることになり、相当ではない。これを前提に被告製品をみると、同製品には給電線を通すために、突出部とは別の位置に穴部が存在し、実装時には突出部の空洞ではなく、当該穴部を給電に用いていると認められる・・・・ので、被告製品の突出部の空洞が『給電用』に該当するということはできない。したがって、被告製品の突出部は、『給電用』のものに該当しないから、構成要件1A及び1Dを充足しない」と述べている。 |