知財高裁(令和元年9)“ゲームシステム作動方法事件イ−9号方法等は、本件発明A1の技術的範囲に属するものである。そして、イ−9号製品等は、・・・・ゲーム装置である・・・・、PlStan2・・・・及びPlStan3・・・・に装填してゲームシステムを作動させるためのゲームソフトであり、上記ゲーム装置に装填されて使用される用途以外に、社会通念上、経済的、商業的又は実用的な他の用途はないから、イ−9号方法等の使用にのみ用いる物であると認められる。したがって、特許法101条4号により、被控訴人が、業として、イ−9号製品等の製造、販売及び販売の申出をする行為は、本件特許権Aを侵害するものとみなされる」、「これに対し被控訴人は、・・・・本件発明A1の『第1の記憶媒体と・・・・第2の記憶媒体とが準備されており』とは、実施行為者において各記憶媒体をゲーム装置に装填可能に準備することを意味するものであるところ、本編ディスク(サイト注:第1の記憶媒体に相当する)を保有せずにイ−9号製品等(サイト注:第2の記憶媒体に相当する)のみを保有しているユーザは、MIXJOY(サイト注:イ−9号製品等において本編ディスクプログラムをプレイできるようにするメニュー)を選択することはないから、本件発明A1の方法を実施することがなく、かつ、イ−9号製品等には、単独でも十分楽しめる内容のゲームプログラムが備わっているから、イ−9号製品等は、社会通念上、経済的、商業的又は実用的な他の用途を有するものであって、本件発明A1の方法の使用にのみ用いる物ではない・・・・旨主張する」、「本件発明A1の特許請求の範囲(請求項1)の記載及び本件明細書Aの記載によれば、本件発明A1の『第1の記憶媒体と・・・・第2の記憶媒体とが準備されており』とは、ゲームソフトメーカ等により第1の記憶媒体及び第2の記憶媒体が提供され、ユーザにおいてこれを入手することが可能な状況を意味するものであって、ユーザにおいて各記憶媒体を現に保有することを意味するものではないと解される。そして、同様の理由により『上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき』に、実施行為者において第1の記憶媒体を保有することが必要であるとは解されない。したがって、イ−9号製品等を保有するユーザが、本編ディスクを保有していないとの事実は、イ−9号製品等が本件発明A1の方法の使用にのみ用いる物であるとの判断を左右するものではない」と述べている。

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