大阪地裁(令和2年1月20日)“油冷式スクリュ圧縮機事件”は、「被告は、『均圧』の一般的な意味、圧縮機等の圧力利用に関する技術分野における『均圧流路』という用語の使用例、本件明細書の記載及び本件特許出願に対応する外国出願の請求項で使用されている英語表現を指摘して、『均圧流路』とは、油溜まり部の圧力とバランスピストン室の圧力を等しくするための流路を意味すると主張する。しかし、特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず(特許法70条1項)、その場合、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされている(同条2項)。その際、当該文言の一般的な意味や関連する技術分野の用語例が参酌されるべきであるとしても、特許請求の範囲の記載並びに明細書の発明の詳細な説明の記載及び図面に基づき、それに即した意義のものとして解釈することも当然に許される。この点は、対応外国特許の記載を参酌する場合も同様である。そして、本件においては、・・・・一義的に明確とはいえない特許請求の範囲記載の文言につき、本件明細書の記載に基づき、・・・・解釈したものである。また、圧力損失が生じることを前提とする、油溜まり部の圧力とバランスピストン室の圧力を厳密に等しくするためには、これを実現するための何らかの機構が当該流路中に設けられている必要があるが、本件明細書には、そのような機構に関する言及はない。したがって、この点に関する被告の主張は採用できない」と述べている。 |