大阪地裁(令和2年)“油冷式スクリュ圧縮機事件逸失利益は、・・・・合計117億3994万8941円(これは、税抜きの額である)と推定される。また、消費税は、国内において事業者が行った資産の譲渡等に課されるものであるところ(消費税法4条1項、消費税法基本通達5−2−5によれば、特許権を侵害された者が特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償金を侵害者から受領した場合、その損害賠償金も消費税の課税対象となるものと推察される。そうすると、特許権者が特許権侵害による損害のてん補を受けるためには、課税されるであろう消費税額相当分についても損害として受領し得る必要があるというべきである。すなわち『利益』には消費税額相当分も含まれ得ると解される。もっとも、その税率に関しては、不法行為に基づく損害賠償が損害のてん補という性質のものである以上、当該特許権侵害行為当時の税率が適用されるべきである。本件に即していえば、本件特許権侵害行為が行われた期間のうち、平成6年4月1日より前の特許権侵害行為については5%の、同日以降の侵害行為については8%の税率に基づき算定すべきこととなる。そうすると、消費税額相当分を加味した逸失利益の額は、・・・・合計125億4281万9040円と推定される」と述べている。

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