知財高裁(令和2年)“梁補強金具事件控訴人は、本件各発明等は、その全体が被告各製品の全体を対象とするものの、特徴部分は、梁補強金具の外周部の軸方向の『片面側の端部に形成』した『フランジ部』であり、被告各製品においては、ダイヤリングの外周部の軸方向の『片面側の端部に形成』した『つば状の出っ張り部の外周部』がこれに該当するところ、侵害製品全体に対する特許発明の実施部分の価値の割合、すなわち特許発明の寄与度を考慮すべきであり、・・・・推定は、少なくとも0%の割合で覆滅されるべきであると主張する」、「本件明細書等の記載・・・・によれば、本件各発明等は、各種建築構造物を構成する梁に形成された貫通孔に固定され当該梁を補強する梁補強金具およびこれを用いた梁貫通孔補強構造に関し・・・・、梁に開設された貫通孔に対する配管の取り付けの自由度を高めるとともに大きさの異なる貫通孔に対しても材料の無駄を省きつつ必要な強度まで補強することができ、柱梁接合部に近い塑性化領域における貫通孔設置を可能とする梁補強金具と、前記梁補強金具を用いた梁貫通孔補強構造とを提供するために・・・・、梁に形成された貫通孔の周縁部に外周部が溶接固定されるリング状の梁補強金具であって、その軸方向の長さを半径方向の肉厚の0.5倍〜0.0倍とし、前記貫通孔より外径が大きいフランジ部を前記外周部の軸方向の片面側に形成し・・・、さらに、フランジ部を前記外周部の軸方向の片面側の端部に形成し、前記梁補強金具の軸方向の前記片面側の面は、前記梁補強金具の内周から前記梁補強金具の前記外周部の一部である前記フランジ部の外周まで平面であるという構成を採用したものであって・・・・、梁に外力が加わったとき貫通孔の周縁部に生じる応力は、ウェブ部から貫通孔の中心軸に沿って離れるに従って徐々に小さくなることから、梁補強金具の軸方向長さを必要以上に長くしないように規制することにより、大きさの異なる貫通孔に対しても材料の無駄を省きつつ必要な強度まで補強することができ・・・・、また、フランジ部により軸方向の位置決めを正確かつ迅速に行うことができるという効果を奏するものである・・・。このように、本件各発明等の特徴部分が、フランジ部のみにあるということはできない」、本件においては、損害額の推定を覆滅すべき事情があるとは認められない」と述べている。

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