知財高裁(令和2年)“椅子型マッサージ機事件原告は、空気式マッサージ具を膨張させることによって使用者を安定保持する技術が甲3ないし甲5のとおり周知であったから、使用者を安定保持するという引用発明の課題を解決するために、同一の課題を解決する手段である空気式マッサージ具を適用することは、当業者にとって当然の創作能力の発揮であると主張し、また、典型的な設計事項であるとも主張する。しかし、引用発明の左右両弧状枠部材は、・・・・使用者が幅方向外側へ移動することを規制するものにすぎず、使用者を内側に向かって積極的に挟み込むことによりその身体を保持する空気式マッサージ具とは、その目的及び機能において異なる。そうすると、両者をもって同一の課題を解決する手段であるということはできないから、引用発明の左右両弧状枠部材にかかる周知技術を適用することが直ちに動機付けられるものではないし、典型的な設計事項である旨をいう原告の主張にも理由がないというべきである」と述べている。

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