知財高裁(令和2年1月29日)“自律型小型無線装置事件”は、「当業者は、引用例10(サイト注:頒布された刊行物である特許公報)に基づいて、引用発明の自給ミニオン装置を製造し、使用することができるものと認められるから、引用発明は、『頒布された刊行物に記載された発明』(特許法29条1項3号)に該当するものと認められる」、「これに対し原告は、・・・・携帯電話網、公衆ネットワークなどの社会インフラで利用可能な程度に開示されているとはいえない旨主張する。しかしながら、本願発明においては、携帯電話網、公衆ネットワークなどの社会インフラで実施することは特許請求の範囲に記載がなく、本願明細書の記載からは『IoTシステムを構築するための近距離無線通信用の基地局設置やゲートウェイ装置』・・・・として実施することを想定しているにすぎないから、引用発明が『携帯電話網、公衆ネットワークなどの社会インフラで利用可能な程度』に開示されていることを要するとはいえない。したがって、原告の上記主張は採用することができない」と述べている。 |