知財高裁(令和2年)“金融商品取引管理装置事件「原告は、本件手続補正は、本件訂正に係る訂正請求書の訂正事項1−1ないし1−3で注文情報生成手段が行うとされていた決済注文の有効/無効の切替処理を約定情報生成手段が行うこととしたものであり、本件手続補正によって金融商品取引装置が行う処理内容には何らの変更も加えられておらず、単に決済注文の有効/無効の切替処理を行う手段を注文情報生成手段と呼ぶか約定情報生成手段と呼ぶかという形式的な点の補正にとどまるから、これによって審理対象が実質的に変更されているものでなければ、審理遅延が生じるものでもない・・・から、本件手続補正は、本件訂正に係る訂正請求書の要旨を変更するものではなく、本件手続補正は特許法131条の2第1項に適合するものであり、これと異なる本件審決の判断は誤りである旨主張する」、補正1ないし6は、いずれも訂正事項1−1ないし1−3の内容を実質的に変更するものであり、特に補正2は、訂正事項1−1及び1−3における『前記注文情報生成手段は、売買取引開始時に、成行注文を行うとともに、該成行注文を決済するための指値注文および前記成行注文を決済するための逆指値注文を有効とし』との訂正事項を『前記約定情報生成手段は、売買取引開始時に、成行注文を行うとともに、該成行注文を決済するための指値注文および前記成行注文を決済するための逆指値注文を有効とし』と補正するものであって『前記注文情報生成手段』が実行する処理であった『成行注文を行うとともに、該成行注文を決済するための指値注文および前記成行注文を決済するための逆指値注文を有効とし』との処理を、本件訂正前の請求項2において『前記注文情報生成手段』とは異なる手段として規定されていた『前記約定情報生成手段』が実行する処理であると変更するものであるから、訂正事項1−1及び1−3の内容を実質的に変更するものであることは明らかである。したがって、補正1ないし6は、本件訂正に係る訂正請求書の要旨を変更するものであるから、本件手続補正は、その余の補正事項について検討するまでもなく、特許法134条の2第9項で準用する同法131条の2第1項の規定に適合しないから、原告の上記主張は理由がない」、本件手続補正が特許法134条の2第9項で準用する同法131条の2第1項に適合しないとした本件審決の判断に誤りはない」と述べている。

特許法の世界|判例集