知財高裁(令和2年10月21日)“オルニチン及びエクオールを含有する粉末状の発酵物の製造方法事件”は、「エクオール産生能を有する微生物は、本件原出願日時点までにラクトコッカス20−92株(サイト注:実施例)以外にも複数発見されていたのであり、それら既知のエクオール産生能を有する微生物を対象にして、当該微生物のオルニチン産生能を検討するという方法でも、オルニチン・エクオール産生微生物を得ることができる。このように既知のエクオール産生微生物を対象にオルニチン産生能を指標にしてオルニチン・エクオール産生微生物を得ることについて、格別の困難性はないと認められる」、「本件原出願日時点において、未だ発見されていないオルニチン・エクオール産生微生物について検討するに、本件明細書には、・・・・『公知のスクリーニング方法』によりオルニチン・エクオール産生微生物を得ることができると記載されている。そして、・・・・本件原出願日当時、特定の性質を有する微生物(菌)をスクリーニングにより探索する一般的な手法は技術常識になっていたものである」、「前記・・・・で検討したところからすると、当業者は、過度の試行錯誤を要することなく、『大豆胚軸』以外のアルギニンが添加された『ダイゼイン類を含む原料』を発酵原料とし、ラクトコッカス20−92株以外の菌株を用いて、本件訂正発明が規定する量のエクオール及びオルニチンを含有する食品素材として使用可能な粉末状の発酵物を得られるといえるから、本件訂正発明は、実施可能要件に違反するものではないと認められる」と述べている。 |