知財高裁(令和2年)“炎症性疾患および自己免疫疾患の処置の組成物事件本件基礎出願明細書には、FOXP3陽性調節性T細胞におけるAKTリン酸化を誘発する能力の低下等を発明特定事項とした、本件発明1とは異なる作用メカニズムに基づいた別の発明が記載されているのみであり、本件発明1の発明特定事項を満たすIL−2改変体の発明が、本件基礎出願明細書に記載されている又は記載されているに等しいものとは認められない。そして、このことは、本件優先日当時の技術常識を考慮したとしても左右されるものではない」、「本件基礎出願には、本件発明1が記載されている又は記載されているに等しいとはいえないので、本件発明1は、本件基礎出願に基づく優先権を主張することはできない」、「本件特許出願(サイト注:平成2年1月0日に出願)は本件基礎出願(サイト注:平成1年1月1日に出願)に基づく優先権を主張することはできないから、甲1発明(サイト注:平成1年1月2日に国際公開)は、本件特許出願よりも前に公知になった発明ということができる」と述べている。

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