東京地裁(令和2年)“ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造事件消費税は『国内において事業者が行った資産の譲渡等』に課されるものである(消費税法4条1項)。『資産の譲渡等』には『無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金』が含まれると解する消費税基本通達があること(消費税基本通達5−2−5)から、特許権を侵害された者が特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償金を侵害者から受領した場合、その損害賠償金は消費税の課税対象とされているものと解される。そうすると、本件では、上記のとおり特許法102条3項により算定された●(省略)●が損害賠償金となるところ、原告の損害額の算定に当たっては、上記損害額に消費税相当額を乗じた額を加算するのが相当と解される」、「被告は、原告の主張する損害額の根拠となる被告の売上について既に消費税相当額を納税済みであり、国が既に支払われた被告の売上に対応する消費税相当額に加え、当該売上に対応する知的財産権侵害の損害賠償額について消費税相当額を重ねて徴収できる理由はなく、消費税相当額を加算することは認められないと主張する。しかしながら、本件では、特許法102条3項により算定された●(省略)●が損害賠償金となり、この損害賠償金を侵害者から受領することが『資産の譲渡等』に当たると解されているのであるから、被告が被告各製品の売上げについて消費税相当額を納付したことをもって、原告が本件の損害賠償金について消費税を課税されないことにはならないと解される。被告の上記主張を採用することはできない」と述べている。

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