東京地裁(令和2年12月1日)“ピストン式圧縮機における冷媒吸入構造事件”は、「民法724条にいう『損害及び加害者を知った時』とは、被害者において、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知った時を意味すると解するのが相当である」、「原告は、平成26年3月頃には、被告製品2がマツダに販売されていたことを認識していたといえるが、被告各製品が関係会社間で取引されていたため、平成26年10月17日に外部の調査会社からの報告を受けて、被告各製品の販売ルート(サイト注:マツダへの販売ルート)が3通りあることを把握し、同年12月に差止訴訟の提起に至ったものといえ、原告が平成26年8月23日以前の時点において、被告が被告各製品を販売していたと認識していたと認めることはできない。したがって、原告は、平成26年8月23日以前の時点において、損害及び加害者を知っていたとはいえず、消滅時効の起算日は同日より後の日となり、原告は、平成29年8月23日に本件訴訟を提起していることから、消滅時効についての被告の主張は理由がない」と述べている。 |