東京地裁(令和2年)“塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム事件被告は、当業者において、本件発明の構成要件Aの『TD方向の引裂強度』の意義及び測定方法を理解することができないから、自ら生産し、又は譲渡する『塩化ビニリデン系樹脂ラップフィルム』が、上記構成要件の物性値を満たすか否かを認識することができず、本件特許は、明確性要件を満たさない旨を主張する」、「しかし、・・・・本件明細書・・・・の記載及び技術常識に従えば、当業者において、構成要件Aの『TD方向の引裂強度』の意義は、あらかじめ切れ目を入れた1枚の試験片を幅方向(TD方向)に引き裂き続けるのに必要とする力の平均値・・・・であり、その測定方法は『軽荷重引裂試験機(東洋精機製』を使用し、その取扱説明書・・・・と『S P 8116』・・・・の使用条件に相違がある場合には、前者の使用条件を優先し、それゆえ引裂対象となるプラスチック試験片についても、上記取扱説明書の記載に従って、その寸法・・・・、切り込み長さ・・・・、引き裂き長さ・・・・、試験片枚数(1枚)等の測定条件を一義的に設定するなどして測定することができるものと容易に理解できるというべきであって、上記文言が明確でないということはできない。被告の上記主張は採用できない」と述べている。

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