知財高裁(令和2年2月28日)“美容器事件”は、「特許法102条1項は、・・・・侵害者の譲渡数量に特許権者等の製品の単位数量当たりの利益の額を乗じた額の全額を特許権者等の受けた損害の額とするのではなく、特許権者等の実施の能力に応じた額を超えない限度という制約を設けているところ、この『実施の能力』は、潜在的な能力で足り、生産委託等の方法により、侵害品の販売数量に対応する数量の製品を供給することが可能な場合も実施の能力があるものと解すべきであり、その主張立証責任は特許権者側にある。そして、・・・・一審原告は、毎月の平均販売個数に対し、約3万個の余剰製品供給能力を有していたと推認できるのであるから、この余剰能力の範囲内で月に平均2万個程度の数量の原告製品を追加して販売する能力を有していたと認めるのが相当である。したがって、一審原告は、一審被告が本件侵害期間中に販売した被告製品の数量の原告製品を販売する能力を有していたと認められる」と述べている。 |