東京地裁(令和2年)“発光装置事件被告製品は、いずれもデジタルハイビジョン液晶テレビであり、被告製品1及び2には、いずれも1台につき4個のイ号LED又はロ号LEDが搭載されていた」、「液晶テレビのバックライト用途のLEDの世界的な平均価格は、平成6年は0.1ドル、平成7年は0.8ドル、平成8年は0.068ドルであった。また、年間平均為替レート(TTSレート)は、平成6年は106.5円/1ドル、平成7年は122.5円/1ドル、平成8年は109.4円/1ドルであった」、上記によれば、被告製品が製造、販売されていた平成6年から平成8年までの間の液晶テレビのバックライト用途のLEDの1個当たりの平均価格は、0.083ドルとなる。これに、平成6年から平成8年の為替レートの平均である113円・・・・を用いて円に換算すると1個当たり9円となり、これに1台の被告製品に搭載されていた個数である4を乗じると216円となる」、原告は、白色LEDの製造、販売をしている。総合技研株式会社発行の『2017年版 白色LED・応用市場の現状と将来性』・・・・には、原告が、白色LEDに関して、平成4年から平成9年にかけて合計3社にライセンスを供与したと記載されている。ただし、白色LEDを用いて製作される製品について、原告がライセンス契約を締結したことやそのライセンス料を認めるに足りる証拠はない。なお、原告は、他社が有望な特許権等を持っている場合にはクロスライセンス契約を締結することはあるものの、基本的に他社にライセンスをすることはないという方針であった旨述べている」、平成5年9月0日に発行された社団法人発明協会『実施料率』第5版によれば、昭和3年から平成0年までの間における電子・通信用部品』分野の実施料率(イニシャルペイメントがない場合)は、1ないし0パーセントの間で分布しているところ、そのほとんどが1ないし5パーセントの範囲内に分布し、その中で2パーセント台が最も多くなっている」、平成2年8月1日に発行された『ロイヤルティ料率データハンドブック〜特許権・商標権・プログラム著作権・技術ノウハウ〜』によれば、本件発明1ないし3に関連する『電気』の分野の実施料率の平均は2.9パーセント、最大値は9.5パーセント、最小値は0.5パーセントであった」、上記・・・・の『2017年版白色LED・応用市場の現状と将来性』・・・・によれば、白色LEDを製造して他社に販売している企業は、原告のほかに合計0社以上あった。原告の市場における市場占有率は、平成6年度は5.4パーセント、平成7年度は9.6パーセント、平成8年度は9.1パーセントであった」、上記・・・・によれば、液晶テレビのバックライト用途のLEDの平均的な価格の4個分の価格は216円である。本件では、本件LED又はその製造方法が特許発明の技術的範囲に属するということだけでなく、白色LEDはそれのみで販売の対象となるものであり、原告は白色LEDの製造、販売を行っていることなどから、特許法102条3項の金額の算定に当たって、まず、上記の平均的な価格の4個分の価格に、主として本件特許権1の侵害が問題となる平成7年0月までの期間については5パーセントを乗じ、本件特許権1に加えて本件特許権3(登録日平成7年0月3日)の侵害も問題となる平成7年1月以降の期間・・・・については8パーセントを乗じると、それぞれ、0.0円及び7.8円となる・・・・。そして、本件で特許権の侵害となるのは本件LEDを使用した被告製品の販売であること、本件LEDはデジタルハイビジョンテレビである被告製品にとり不可欠のものであり、その機能、性能において重要な役割を果たしているといえること、原告の白色LEDの市場におけるシェア、原告が主張するライセンスについての方針、その他本件に現れた諸事情を考慮し、本件において、被告製品1及び2を通じ、特許法102条3項の実施に対し受けるべき金銭の額は、被告製品1台当たり、消費税相当額を含めて、平成7年0月までの期間については、0円をもって相当であると認め、平成7年1月以降の期間については、0円をもって相当であると認める」、以上のとおり、本件において、原告が実施に対し受けるべき実施料として被告製品1台当たり、0円又は0円とするのが相当であるところ、これらは、それぞれ、被告製品の平均的な販売価格の0.058パーセント又は0.087パーセントである(サイト注:被告製品の販売台数については、平成7年0月までの期間と平成7年1月以降の期間に分けて特定できず、被告製品の売上高については、そらの期間に分けて特定できるので、売上高に乗じるための換算である)・・・・。これらに基づき、特許法102条3項に基づく損害額は、・・・1645万6641円(サイト注:平成7年0月までの期間における被告製品の売上高に0.00058を乗じた額と平成7年1月以降の期間における被告製品の売上高に0.00087を乗じた額の合計)とするのが相当と認める」と述べている。

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