知財高裁(令和2年)“UFO飛行装置事件「本願発明は磁石及び対をなす電極が取り付けられた物体であって、それらの電極間で放電が可能で、放電時に於いて運動する電子が作る磁界から磁石が受ける力を物体の推力として利用するもの請求項1)とある」、本願発明のUFO飛行装置は、外部からの何らかの力を受けることも、質量を変化させることもないにも関わらず、その速度を変化させることができるとする発明であると解するほかない。これは、外力の作用なくUFO飛行装置の運動量(質量×速度)が変化するということであるから、運動量保存の法則に反する。またUFO飛行装置の推進力に対向する反作用の力が見当たらないから、作用反作用の法則にも反する。このように、本願発明は、当業者の技術常識に反する結果を実現するとする発明であるが、本願明細書には、本願発明のUFO飛行装置が推進した事実(実験結果)は示されていない。したがって、本願明細書の発明の詳細な説明には、当業者が放電時に於いて運動する電子が作る磁界から磁石が受ける力を物体の推力として利用するUFO飛行装置を生産し、かつ使用できる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められない」、原告は、自動車の内部で燃料が燃焼を起こすことによりタイヤが回転し車体が動くが、これが運動量保存の法則に反するとはされていない旨主張する。しかし、自動車の場合は、路面とタイヤとの間に摩擦力が働き、タイヤが路面に及ぼす力と反対方向の力を、路面がタイヤに反作用として及ぼすことで推進するのであって、自動車は路面という外部からの力を受けている。これに対し、本願発明はUFO飛行装置の外部との間に何ら力が働かないにもかかわらず、推進することができるとするものであるから、自動車の場合と相違することは明らかである。その他、原告は、本願発明の原理としてるる主張するが、いずれもUFO飛行装置内部の現象にとどまりUFO飛行装置全体が外部からの力を受けることなく運動量を変化させられることを説明するものではないから、前記認定を左右しない」と述べている。

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