東京地裁(令和2年)“ホワイトカード使用限度額引上げシステム事件「本件発明のホワイトカードの意義に関し、本件特許請求の範囲には明示的な記載はないが、・・・一般的に、ホワイトカードはカード会社が個人向けに発行する最もベーシックなクレジットカード・・・を意味するものと認められる」、前記判示のホワイトカードの一般的な意義に加え、本件明細書等における・・・記載、特に本件発明の課題がクレジット契約時に設定された使用限度額の引上げにあることなどによれば、本件発明のホワイトカードは、クレジットカードを意味すると解することが相当である。他方、同明細書等にはホワイトカードがプリペイドカードやデビットカードを含む旨の明示的な記載又はそれを前提とする記載は存在しないことに照らすと、本件発明におけるホワイトカードがプリペイドカード等を含むと解することはできない」、原告はホワイトカードの意義につき、本件明細書等に本発明は、商品購入などに際して決済のために使用されるカードに関して、その使用限度額を適宜変更可能とし、さらにその変更を安全に行うための技術に関する(段落0001)、買い物などの支払に利用することができるカード(段落0016)、ホワイトカードとは、本システムによって管理されるカードをいい、もちろんその名称はホワイトカードに限定されない(段落0036)などと記載されていることによればホワイトカード商品購入などに際して決済のために使用されるカード買い物などの支払に利用することができるカードを意味すると主張する。しかし、本件明細書等の段落0001及び0016カードとはホワイトカードであるところホワイトカードが一般的にクレジットカードを意味することは前記判示のとおりであり、また、本件発明の効果に関する記載はホワイトカードがクレジットカードである旨の記載がある一方、本件明細書等にはホワイトカードがプリペイドカード等を含む旨の記載は存在しないことは前記判示のとおりである。そうすると、段落0001及び0016の記載から直ちに本件発明のホワイトカードがプリペイドカード等を含むものであると認めることはできない。またホワイトカード・・・の名称はホワイトカードに限定されない(段落0036)との記載は、カードの名称がホワイトカードに限定されないことを意味するにすぎず、同記載をもって、本件発明のホワイトカードがクレジットカードに限定されないと解することはできない」、原告は、本件明細書等の段落00020005クレジットカードという語を用いて背景技術等の説明をしているのに対し、段落0006以降がホワイトカードという語を用いて説明しているのは、本件発明の発明者がクレジットカードとは全く異なるカードに関する発明を意識していたからであると主張する。しかし、本件明細書等の段落00020005は、単なる背景技術等の説明にとどまらず、本件発明の課題に関する記載であるから、同各段落におけるクレジットカードとの記載が単なる例示であると解することはできず、また、本件明細書等の実施例に関する段落0026においてもカードを発行する信販会社などの装置に対してカードの使用限度額を引上げる命令を出力する・・・と、・・・・『1万円の入金があったことが信販会社などにて確認され、当該カードをその1万円分増加した限度額内で使用することができると記載され、当該カードがクレジットカードであることが前提とされている。これに対し、原告は、同段落に信販会社などと記載されていることや、段落0028上記説明における各装置を管理する主体は一例であって、それ以外の主体によって管理されても良いと記載されていることなどを根拠に、ホワイトカードの発行会社には、プリペイドカードの発行・管理会社なども含み得ると主張するが、本件明細書にはプリペイドカードなどクレジットカード以外のカードに係る記載は存在しないことに照らすと、同段落の信販会社などはクレジットカードの発行会社を意味すると解するのが相当である」、以上のとおり、原告の上記主張はいずれも採用し得ない」と述べている。

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