知財高裁(令和2年)“発光装置事件原告は、本件発明においては、提供される発光装置が『高輝度』なものであることが前提となっているところ、本件一般式蛍光体のうち、Yとlのいずれか一方でも含まないものは、ほとんど発光せず『高輝度』ではないから、そのような本件一般式蛍光体が含まれているという点で、本件発明がサポート要件に違反すると主張している。しかし、・・・・発光装置が『高輝度』であることが本件発明の前提や課題となっているとはいえず、本件発明の課題は、光、熱、水分及び直流電界による蛍光体の劣化である。そして、当業者は、本件明細書における上記課題を解決するための手段や効果の記載・・・・、さらには、実施の形態や実施例・比較例についての記載・・・・などから、特許請求の範囲にある構成を採用することで、上記課題が解決できると認識することができるものと認められる。Yとlのいずれか一方でも含まれない本件一般式蛍光体を用いた場合に、原告が主張するとおり輝度が低くなることがあるとしても、そのことによりサポート要件違反になるというものではない。したがって、原告主張の取消事由1は理由がない」と述べている。

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