知財高裁(令和2年)“化粧料用容器の中枠事件「控訴人らは、・・・・特許庁は、年金管理事務を年金管理サービス会社などに外部委託することを推奨し、特許権者は、年金管理サービス会社に年金管理を委託し、相応の対価を支払うことで、自社で年金管理を行うことから解放され、年金管理サービス会社からの期限通知に対し、権利維持の意思表示を行うのみで年金納付手続がされているという年金管理の運用実態に鑑みれば、特許権者は、年金管理サービス会社に年金管理を委任した時点で、特許料の納付期限の徒過を回避するために相当な注意を尽くしたと解すべきである・・・・として、控訴人中井紙器が本件追納期間内に本件特許料等を納付することができなかったことについて『正当な理由(法112条の2第 1 項)がある旨主張する」、特許権者が特許料の納付管理又は納付手続を代理人に委任している場合は、法律関係の形成に影響を及ぼすべき主観的態様は原則として代理人の主観的態様に従って判断されるべきであり(民法101条参照、法112条の2第1項に規定する『正当な理由』の有無についても、原則として原特許権者の代理人について決するのが相当であると解されるから、控訴人ら主張の年金管理の運用実態を勘案しても、特許権者が年金管理サービス会社に年金管理を委任した時点で、特許料の納付期限の徒過を回避するために相当な注意を尽くしたということはできない。したがって、控訴人中井紙器がA弁理士(サイト注:控訴人中井紙器から無効審判に係る手続の委任の解除の告知を受けた際に本件年金管理に係る委任も解除されたものと認識して本件追納期間を徒過した)に本件年金管理を委任した時点で控訴人中井紙器が本件追納期間の徒過を回避するために相当な注意を尽くしたものと認めることはできない」、「本件特許権を共有していた原特許権者である控訴人中井紙器が本件追納期間の徒過を回避するために相当な注意を尽くしたにもかかわらず、客観的な事情により本件追納期間内に本件特許料等を納付することができなかったものと認めることはできないから、控訴人中井紙器が本件追納期間内に本件特許料等を納付することができなかったことについて『正当な理由(法112条の2第1項)があるということはできない」と述べている。

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