東京地裁(令和2年7月22日)“情報記憶装置事件”は、「被告らが従来行っていた原告電子部品のメモリの書換行為が本件各特許権を侵害するかどうかについて検討する」、「本件各発明のうち、例えば、本件各発明1は、・・・・情報記憶装置の基板に形成された穴部に、画像形成装置本体の突起部に形成された設置用の本体側端子に係合するアース端子を形成した上、当該穴部を複数の金属板のうち2つの金属板の間に挟まれる位置に配設することにより、情報記憶装置に電気的な破損が生じにくくなるとともに、端子の本体側端子に対する平行度のずれを最低限に抑えるようにするものであり、画像形成装置本体(プリンタ)に対して着脱可能に構成された着脱可能装置(トナーカートリッジ)に設置される情報記憶装置(電子部品)の物理的な構造や部品の配置に関する発明であるということができる。また、本件各発明2及び3も、同様に情報記憶装置の物理的構造や部品の配置に関する発明である。これに対し、被告らが行っている原告電子部品のメモリの書換えは、情報記憶装置の物理的構造等に改変を加え、又は部材の交換等をするものではなく、情報記憶装置の物理的な構造はそのまま利用した上で、同装置に記録された情報の書換えを行うにすぎないので、当該書換えにより原告電子部品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと評価することはできない」、「そうすると、原告電子部品のメモリを書き換える行為は本件各特許権を侵害するものではないというべきである」と述べている。 |