東京地裁(令和2年8月26日)“ディスク記録装置事件”は、「本件発明1及び2の代替技術又は競合技術となるDVD関連製品やBD関連製品等のCD−R/RWディスク以外の光ディスク関連製品は、被告製品1及び2の販売期間中に広く販売されるようになり、取り分け、DVD関連製品の平成21年頃の販売数は、対応するCD関連製品の販売数を上回っていたことがうかがわれること、被告は、ライセンスを求める全ての企業にライセンスを認めることを原則とするフィリップス社のライセンスポリシーに従って、本件特許1及び2を必須特許としてほかの特許と一括して実施許諾の対象としていたことなどに照らせば、被告製品1及び2の売上げが第三者に実施許諾していた場合に予想される売上げを大きく上回るものであったと認めるに足りない。他方で、少なくとも、平成12年にDVD関連製品の販売が開始されるまで、CD−R/RWディスク以外の光ディスクが広く販売されていたことはうかがわれず、また、フィリップス社が採用していたライセンスポリシーにおけるライセンス料、ライセンス条件等の契約内容は明らかでないことなどにも照らせば、被告製品1及び2の売上げの一部は本件発明1及び2を含む特許発明による独占的地位に起因する超過売上げであったと認めるのが相当であり、諸般の事情に照らせば、その割合は被告製品1及び2の売上げの1割であったと認めるのが相当である」、「本件報告書及び実施料率[第5版]の記載、取り分け、本件報告書に、国内同業他社のロイヤルティ料率に関するアンケート結果に係る特許権のロイヤルティ率の平均値として、産業分野を電気とするものは2.9%、全体の平均は3.7%と記載されていることを踏まえ、実施料率[第5版]に、技術の普及や対象技術の標準化が重要視されるケースが多い技術分野では実施料率が低く抑えられることが考えられる旨記載されていることも併せ考慮すれば、被告製品1及び2に実施されている本件発明1及び2を含む特許発明に係る仮想実施料率は、2.5%と認めるのが相当である」、「超過売上げ及び仮想実施料率は、被告製品1及び2に実施されている本件発明1及び2を含む特許発明に係るものであるから、本件各発明の実施により被告が受けるべき利益の額を算定するに当たっては、実施特許の中での本件発明1及び2の貢献度を算定する必要があるというべきである」、「本件発明1及び2の技術的意義等に照らせば、本件発明1及び2は、被告製品1及び2の販売に係る超過利益に対して一定の寄与があったというべきところ、実施特許の中での本件発明1及び2の貢献度については、本件ジョイント・ライセンス・プログラムにおいて必須特許とされていた特許と同等のものであったと推認することができるから、製品カテゴリごとに、必須特許の数で、超過利益の額を除して算定するのが相当である」、「他方で、必須特許とされている特許は、必須特許とされていない特許と比べて超過利益の獲得に貢献した程度は大きいと考えられ、諸般の事情に照らせば、3倍程度の貢献があったと認めるのが相当であるから、本件発明1及び2の貢献度を算定するに当たっては、必須特許とされていない特許の数を3で除するのが相当・・・・である」、「本件発明1及び2の実施により被告が受けるべき利益の合計額は、・・・・相当対価計算表(自己実施1)における『対象製品』欄記載の製品カテゴリごと、『対象期間』欄の期間ごとに、【A】欄記載の売上げに、超過売上割合10%、仮想実施料2.5%を乗じた上で、【D】欄記載の補正後の対象特許数で除した上で、【F】欄記載の本件各特許の数を乗じて算定することができ、【G】欄及び【G】´欄のとおり、●(省略)●円である」と述べている。 |