知財高裁(令和2年)“ウエハ検査装置事件甲2文献及び乙1〜3には、相違点1に係る構成(検査室が整備空間側にテストヘッドを引き出すスライドレールを備え、テストヘッドを引き出す構成)の記載はなく、本件証拠上、他に上記構成が記載された文献はない。そうすると、引用発明に甲2文献及び乙1〜3に記載された事項を組み合わせても、本件発明の構成には到らない。したがって、当業者において、引用発明に甲2文献及び乙1〜3に記載された事項を組み合わせて、相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたということはできない」、「被告は、乙3・・・・にも記載があるとおり、テストヘッドを引き出した方が作業性に優れることは自明であるから、メンテナンスの対象物をスライドレールにより引き出してメンテナンスを行う方が、作業が容易であることを動機付けとして、引用発明において、相違点1に係る構成を想到することは容易であると主張する。しかし、・・・・乙3はテストヘッドが検査室に収容されたプローブ装置を開示するものではなく、同段落の『超重量級のテストヘッドであってもテストヘッド4を安全且つ円滑に反転させ、前後、上下に移動させることができ、テストヘッド4をメンテナンス等の作業性に優れた位置へ移動させることができる』との記載から、テストヘッドを引き出した方が作業性に優れていることを読み取ることはできない」と述べている。

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