知財高裁(令和2年9月24日)“ループパイル保持体事件”は、「控訴人は、特許法112条の2による救済は極めて緩い基準によって認めてもよいはずであるし、同条1項の『正当な理由』の意義について原判決のように解釈すると、平成23年改正前よりも厳しい要件となる上、PLTに違反することとなる旨主張する」、「しかしながら、・・・・平成23年改正においては、特許法112条の2第1項について、国際調和の観点から救済の要件を緩和しようとする一方で、第三者の監視負担等の反対利益も考慮して、PLTにおいて選択が認められている『Due Care』の概念が採用され、条文の文言としては『正当な理由があるとき』と規定されたものである。このような特許法112条の2第1項の改正の経緯や趣旨等を考慮すると、同条項にいう『正当な理由があるとき』とは、原特許権者(代理人を含む。)として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず、客観的にみて追納期間内に特許料等を納付することができなかったときをいうものと解するのが相当であり、このように解したとしても、平成23年改正前よりも厳しい要件となるとか、PLTの規定に反するなどということはできない」、「控訴人の主張は、上記のような事情を考慮せず、我が国とは異なる立法内容を持つ米国や英国の事情を引き合いに出した独自の主張といわざるを得ず、採用することができない」と述べている。 |