東京地裁(令和3年)“携帯情報通信装置事件特許発明の実施に対し受けるべき料率を認定するに当たっては、@当該特許発明の実際の実施許諾契約における実施料率や、それが明らかでない場合には業界における実施料の相場等も考慮に入れつつ、A当該特許発明自体の価値すなわち特許発明の技術内容や重要性、他のものによる代替可能性、B当該特許発明を当該製品に用いた場合の売上げ及び利益への貢献や侵害の態様、C特許権者と侵害者との競業関係や特許権者の営業方針等訴訟に現れた諸事情を総合考慮するのが相当である」、「@実際の実施許諾契約における実施料率、業界における実施料の相場等について、次の点を指摘することができる。本件発明を含め、原告による特許発明の実施許諾の実績はない。また、業界における実施料の相場等として、本件報告書及び・・・・『実施料率[第5版』における平均値等の記載を採用することも相当ではない。このような状況に照らせば、本件発明に関し、業界における実施料の相場等を示すものとしては、被告が締結した被告製品に関する特許の実施許諾契約の内容を参考とするのが相当である。そして、被告従業員の前記陳述書においては、被告各製品に関連する標準必須特許以外のライセンス契約において、パテントファミリー単位での特許権1件あたりのライセンス料率が(省略●%であり、そのうち、ランニング方式での契約をとるC社との契約においてはライセンス料率の平均が約(省略●%であったこと、また、被告が、平成2年頃、被告各製品の販売に関連し、画像処理・外部出力関連の標準規格の特許ライセンス料を含む使用許諾料として支払っていた額は1台当たり合計(省略●米ドルであったことが説明されている・・・・。なお、・・・・被告従業員の説明によれば、これらのライセンス契約のうち、C社を含む一部の会社との間の契約においてはクロスライセンスの条項が設けられていたところ、・・・・クロスライセンスの存在はライセンス料率を引き下げる要因と考えられるから、上記の被告従業員の説明に係るライセンス料率についても、クロスライセンスによる減額がされていた可能性は否定されない」、「A本件発明が被告各製品にとって代替不可能なものとは認められず、B本件発明を実施することによる被告の利益の程度も明らかではないこと、・・・・C原告と被告との間に競業関係がなく、原告は、特許発明について自社での実施はしておらず、他社に実施許諾をして実施料を得ることを営業方針としているものの、これまで保有する特許発明について、実施許諾契約の締結に至ったことはないことといった事情を総合考慮すれば、本件発明について、被告各製品の製造、販売に対して受けるべき実施料率は0.1%と認めるのが相当である」、「被告が返還すべき利得額は、・・・・被告各製品の売上高合計980億1770万4000円に実施料率0.1%を乗じた980万1770円と認められる」と述べている。

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