知財高裁(令和3年)“被包型側溝事件「被包型側溝は、側溝の分野において本件特許出願以前から公知であったと認められるから・・・・、乙2発明に乙第3ないし6号証に記載された事項を適用することで、側溝と側溝蓋が曲面で接触する被包型側溝とすること自体は容易になし得たものであるといえる。他方、乙第2号証には、側溝の支持面の下端に、構成要件B3のような形態の『せぎり部』を設けることに関する記載はないところ、本件発明では、構成要件B3のとおり、支持面に下端に沿って連続的に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に『所定の隙間を形成するため』のせぎり部を形成することによって、側溝蓋0の当接部1の下端部と側溝1の支持面5の下端部との間に所定の隙間が形成され、施工後には砂利、土等はこの隙間に集まり、側溝蓋0の当接部1と側溝1の支持面5とは面接触状態が維持されるという、側溝と側溝蓋が曲面で接触するだけでは達成できない独自の効果を奏することとされているのであるから、構成要件B3は『せぎり部』の位置も含めて、本件発明の進歩性を基礎づける本質的部分というべきである。このことは、本件特許については、審査段階で、被包型側溝である特開平6−108526号公報(乙4)及び乙2発明から容易に想到し得たとの拒絶理由通知・・・・に対して『下端に前記側溝蓋の前記当接部の下端部との間に所定の隙間を形成するためのせぎり部が形成された』との構成要件B3(本件訂正前のもの)に相当する構成を付加し、支持面の下端に『せぎり部』が設けられている点を限定して・・・・、特許査定となっているという経緯からも、裏付けられる」、「以上によれば、・・・・被告製品は、本件発明の本質的部分である構成要件B3において本件発明と相違するから、均等の第1要件を充足しない」と述べている。

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