知財高裁(令和3年12月15日)“雨滴除去装置事件”は、「引用発明及び引用文献2記載事項は、いずれも、雨滴を拭き取るワイパーという本件補正発明と同様の技術分野に関する技術であるから、当業者は、これらを自らの知識とした上で通常の創作能力を発揮することができる。そして、引用発明と引用文献2記載事項とは、回転する部材の水滴や汚れを拭き取る作用・機能においても共通するから、引用文献2記載事項の引用発明への適用を動機付けられることは、当業者の通常の創作能力の発揮であるといえる」、「この点に関し、原告は、本件出願時の当業者は、本願発明に接していないのであるから、円弧の形をしたワイパーを検索することはなく、引用文献2を発見することができず、また、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用する動機付けはない旨主張する。しかしながら、・・・・当業者とは、本件補正発明の属する技術分野であるワイパーについての出願時の技術水準にある事項の全てを知識として活用できる者なのであるから、技術水準を構成する円弧の形をしたワイパーに係る先行技術(引用文献2記載事項)を調査し把握し得ることはもとより、この先行技術を引用発明に適用することを動機付けられ、相違点3の構成を容易に想到し得るというべきである。したがって、原告の上記主張は採用することができない」と述べている。 |