知財高裁(令和3年)“カット手法を分析する方法事件「美容室では、顧客から『このようなヘアスタイルにして欲しい』と写真を渡されることがあるが、経験の浅い美容師にとってどのようなカット手法を施せばそのヘアスタイルにすることができるのか分からないことが多く、・・・・経験の浅い美容師や学生が写真通りのヘアスタイルにすることは簡単ではなく、また、ヘアスタイルデザインロジックに基づいた体系的な学習方法や分析方法はこれまで存在しないため、美容師育成に時間がかかっており、さらには、写真から自然乾燥状態のナチュラルストレートのヘアスタイルを推定して分析を試みることも行われてこず、ベテランの美容師は、過去に学んだ様々なヘアスタイルから経験的にカット手法を導出しているだけであり、経験の浅い美容師にとってカット手法を写真から導き出すことは容易なことではなかった」、「本願補正発明の第1のステップないし第4のステップは、全体として考察すると、分析者が、頭髪の知識等を利用して自然乾燥ヘアスタイルを推定し(第1のステップ、分析の対象となる頭部の領域を選択し(第2のステップ、セクションに適した分類項目の中から分析者が推定した分析対象者のヘアスタイルを分類し(第3のステップ、この分類に対応するカット手法の分析を導出する(第4のステップ)ことを、頭の中ですべて行うことが含まれるものである以上、仮に、分析者が頭の中で行う分析の過程で利用する頭髪の知識や経験に自然法則が含まれているとしても、専ら人の精神的活動によって前記・・・・で認定した課題の解決することを発明特定事項に含むものであって『自然法則を利用した技術的思想の創作』であるとはいえないから、特許法2条1項に規定する『発明』に該当するものとはいえない」と述べている。

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