知財高裁(令和3年)“創傷被覆材事件原告は、貫通孔の開孔率は、発明の課題解決に直結する特徴部分であり、開孔率の特定が不充分であることは特許権の独占権の範囲についての予測可能性を奪うものであるから、本件発明1において『開孔率が3.7%以上』とのみ記載され、上限が規定されていなくても明確性要件を満たすとした判断には誤りがある旨主張する。しかし『開孔率3.7%以上』という記載そのものは明確である上、開孔率の上限値が規定されていないとしても、当業者からすれば、実質的に孔として存在し得ないような開孔率を有するものを含まないことは明らかであるから、開孔率の上限が規定されていないことを理由として、特許権の独占権の範囲についての予測可能性を奪うものであるということはできない。また、特許請求の範囲に記載された数値範囲が不明確であるか否かの判断に際して、当該数値範囲が臨界的意義を有するか否かは関係しないから、この点からも原告の主張は理由がない。したがって『開孔率3.7%以上』との記載は、明確性要件に反するとはいえず、これと同旨の本件審決の判断に誤りはない」と述べている。

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