東京地裁(令和3年)“真空洗浄装置事件「本件特許権2は真空洗浄装置の乾燥工程に関するものである。真空洗浄装置は本件明細書等・・・・にも記載があるとおり準備工程搬入工程洗浄工程乾燥工程搬出工程などを経て一連の作業が行われる。このうち乾燥工程も重要な役割を担うものの真空洗浄装置の主たる目的はワークを洗浄することにあるので被告製品全体において本件特許の寄与する割合はその一部にとどまるということができる。また顧客が真空洗浄機を購入するに当たっても所望のワークを洗浄し得るかという点に大きな関心を有すると考えられ本件発明2による急速乾燥の効果が顧客誘引力に与える程度は洗浄能力に比べると小さいというべきである「平成7年3月期における真空洗浄装置の市場占有率は不二越2.5%原告5.0%アクア化学株式会社7.5%株式会社クリンビー4.5%被告4.5%であったと認められる。他方で例えば市場シェアが首位の不二越は『浸漬あり(洗浄室内の洗浄湯に製品を浸して洗う』のタイプの製品に強いのに対し原告及び被告はいずれも『浸漬なし(蒸気やシャワーなどを利用して洗う』のタイプの製品の開発・販売にも注力していたものと認められる・・・・。 実際のところ被告製品は『浸漬なし』のタイプに属し容量の大きい5L型真空弁及び水冷バッフルを用いることにより急速な乾燥を可能にするものであると認められ被告製品の製品案内・・・・にも『製品を急速乾燥する。従来の乾燥時間の0分を1〜2分へ大幅に短縮』などの記載があり洗浄性能等を強調する他社の製品案内・・・・と比較すると原告製品・・・・と同様急速乾燥をメリットとして顧客にアピールする製品であったと認められる。そうすると本件特許権2の侵害行為がなければ被告製品の顧客の一定の割合が原告ではなく競合他社から真空洗浄装置を購入したとしても被告製品が『浸漬なし』のタイプに属し急速乾燥の実現を特徴としていることに照らすと原告製品の被告製品に対する代替性は競合他社に比べて高いというべきである「以上の事情を総合考慮すれば特許法102条2項による・・・・損害の推定は5割の限度で覆滅されるというべきである」と述べている。

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