知財高裁(令和3年3月25日)“止痒剤事件”は、「本件審決は、・・・・慢性肝疾患患者を対象とする場合については、先行処分2により既に実施可能となっていたことを認定した後、引き続き、『本件延長登録のうち、『処分の対象となった医薬品について特定された用途』が『慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)』の部分は、旧特許法125条の2第1項1号に該当し、無効にすべきものと認められる。』、『無効理由2は、本件延長登録のうち『処分の対象となった医薬品について特定された用途』が『慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)』の部分について理由がある。』と判断しているのであり、このことからすると、本件審決は、無効理由2に基づいて本件延長登録のうち『処分の対象となった医薬品について特定された用途』を『慢性肝疾患患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)』とする部分のみについて無効理由があると判断したものと解され、本件審決のこの判断は、正当なものとして是認することができる」、「原告は、本件のように、延長登録の一部について無効理由がある場合、無効理由がある部分を含めて無効にすべきではないと主張している。しかし、延長登録を全体として不可分と解すべき根拠はなく、延長登録がされた『用途』の一部については、旧特許法67条2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められない場合には、その部分のみを無効審判において無効にすることができ、そのようにすべきであると解される。この点について特に明文の規定はないが、明文の規定がないからといって、上記のように可分と解することが妨げられる理由は見いだし難い。したがって、原告の上記主張を採用することはできない」と述べている。 |