知財高裁(令和3年3月30日)“下肢関節手術用牽引手術台事件”は、「原告は、・・・・本件補正(サイト注:訂正の請求書に添付した特許請求の範囲の補正)が実質的な訂正であり、特許法134条の2第1項ただし書各号が定める目的を有しないと主張する。しかしながら、本件訂正事項1に係る訂正特許請求の範囲・・・・の請求項1には、『前記グリップ部の握り込み量に応じて位置が変化する第一の抑え部材』、『前記グリップ部の握り込み量に応じて位置が変化する第二の抑え部材』、『前記グリップ部を握る力』、『前記グリップ部が元の位置に戻る』と記載されているが、この訂正特許請求の範囲・・・・と同日に提出された本件訂正請求書・・・・及び意見書・・・・においては、上記記載箇所に『グリップ部』となっているところが、いずれも『グリップ』となっている。本件訂正請求書・・・・の『訂正の理由』中でも、『グリップの握り込み量』、『前記グリップ部には付勢手段が付されており』、『前記グリップを握る力を抜くと、前記グリップが元に位置に戻る』と記載されている。本件訂正発明1においては、『第一のモード・・・・、第二のモード、・・・・第三のモード、を1つのグリップの握り動作で設定することのできるグリップ部』と記載されていることに鑑みると、本件訂正発明は、『位置調整部』において、モードを切り替えるための機構である『グリップ部』のうち、実際に手で握る部分を『グリップ』としていることは明らかである。そうすると、本件訂正事項1に係る訂正特許請求の範囲の『グリップ部』との記載は『グリップ』の誤記と認められ、本件補正・・・・は、この誤記を訂正するにすぎないから、特許法第134条の2第9項で準用する同法第131条の2第1項に規定する要旨の変更に該当しない」と述べている。 |