知財高裁(令和3年3月8日)“美容器事件”は、「控訴人は、『挿通』につき、請求項1の記載からは、ローラシャフトが軸孔を貫通するように通っていることを意味しているか否かが明確ではないが、請求項2においては、『上記凹部には、上記軸孔に挿通された上記ローラシャフトを支持するシャフト支持台が設けられている』 と特定されており、凹部に設けられたシャフト支持台でローラシャフトを支持しているから、軸孔をローラシャフトが完全に貫通していることは明らかであり、そのため、請求項1においても、『挿通』とは、ローラシャフトが軸孔を貫通するように通っていることを意味していると主張する・・・・。しかし、・・・・請求項1の構成要件Dの『軸孔に挿通された一対のローラシャフト』、構成要件Eの『該一対のローラシャフト』とは、ローラシャフトが軸孔を通り抜けて軸孔の反対側端面を超えて中空を貫通する場合を含むが、それにとどまらず、ローラシャフトが、軸孔とされる部分に、軸孔の反対側端面に至るまで深く差し込まれている状態の場合をも含むと解されるものであるところ、請求項2は、これらのうち前者の場合を記載したものと解されるところであり、請求項2の記載を根拠として、請求項1の構成要件Dの『軸孔に挿通された一対のローラシャフト』、構成要件Eの『該一対のローラシャフト』が前者のものに限られるということはできず、控訴人の上記主張は、採用することができない」と述べている。 |