東京地裁(令和3年)“移動体のネットワークとインターフェースするためのシステム事件本件国際出願において優先日を正確に入力することは、本件特許事務所における基本的な業務であり、これを正確に入力する必要性は高かったと認められるところ、本件においては、国際出願手続及び各国への国内移行手続を担当するBから、ドケット管理部署に所属するDへの連絡が適切であったということができず、これに基づいて本件期限管理ファイルを作成したDは本件国際出願に係る優先日として米国特許仮出願1及び2のいずれの出願日を入力すべきであるかを十分に確認することなく誤った優先日を入力した上、本件国際出願に際してのA弁護士等によるチェック、本件国際出願後のEによるチェック及び本件国内移行期限管理ファイル作成の際のドケット管理部署による優先日の事後的なチェックはいずれも行われなかったか不十分であったということができる。そうすると、本件期間徒過について、原告から委任を受けた本件特許事務所の担当弁護士や補助者事務員が相当な注意を尽くしたということはできない」、原告は、本件において、正当な理由の有無は、米国における基準により判断すべきであると主張するが、我が国の特許法に基づく国内書面提出期間の徒過について我が国の基準が適用されるべきことは当然であり、米国の基準を適用すべき理由はない」、原告が国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなかったことについて正当な理由があるとは認められない」と述べている。

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