知財高裁(令和3年)“表示装置事件本発明においては、PLC(サイト注:プログラマブル・コントローラ)本体に、制御対象の異常現象の発生を直接的に監視する(モニタする)プログラムが備えられている」、「本発明においては、PLC本体が備える上記・・・・のプログラムと別に、表示装置が備えるプログラムがあり、その機能は、制御対象の異常現象の発生を、PLC本体・・・・を通じて、いわば『間接的』に監視する(モニタする)ことであると理解される」、「本発明は、特許請求の範囲・・・・から明らかなように『表示装置』の発明であるから、構成Bの『前記制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラム』は、一義的に『表示装置』が有するプログラムであって、PLC本体のプログラムではない。そして、上記・・・・に検討したとおり、本件明細書には、表示装置が有するプログラムとして、制御対象の異常現象の発生を、PLC本体・・・・を通じて、間接的に監視する(モニタする)プログラムが開示されている。そうすると、本件明細書に接する当業者は、本件訂正で付加された『当該異常現象が発生したのに対応して、前記プログラマブル・コントローラの対応するアドレスのデータが変化したことを認識するプログラム』はこの間接的な監視プログラムを指すものと理解できる。したがって、本件訂正は『前記制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラム』の内容を、本件明細書に開示された『当該異常現象が発生したのに対応して、前記プログラマブル・コントローラの対応するアドレスのデータが変化したことを認識するプログラム』に限定するものといえるので、特許請求の範囲の減縮に該当する(仮にそうでないとしても『明瞭でない記載の釈明』に該当する)」、「原告は、モニタプログラム(PLC本体が備えるプログラム)と変化認識プログラム(表示装置が備えるプログラム)とは別のプログラムであり、本件訂正は、訂正前の請求項1に記載されていたモニタプログラムを訂正後は変化認識プログラムに入れ替えるものであること等を理由に、本件訂正は訂正要件に違反する旨主張する。しかしながら、・・・・構成要件Bが構成要件Gの『表示装置』を特定する事項であることは、本件訂正の前後を通じて一貫して明らかである・・・・から、構成要件Bの『制御対象の異常現象の発生をモニタするプログラム』が、本件明細書によればPLC本体に内蔵されるものであることが明らかな『異常モニタ用ラダープログラム(モニタプログラム)を指すと理解されることはあり得ない。したがって、原告の上記主張は採用することができない」と述べている。

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