知財高裁(令和3年6月28日)“真空洗浄装置事件”は、「サポート要件を充足するには、明細書に接した当業者が、特許請求された発明が明細書に記載されていると合理的に認識できれば足り、また、課題の解決についても、当業者において、技術常識も踏まえて課題が解決できるであろうとの合理的な期待が得られる程度の記載があれば足りるのであって、厳密な科学的な証明に達する程度の記載までは不要であると解される。なぜなら、まず、サポート要件は、発明の公開の代償として独占権を与えるという特許制度の本質に由来するものであるから、明細書に接した当業者が当該発明の追試や分析をすることによって更なる技術の発展に資することができれば、サポート要件を課したことの目的は一応達せられるからであり、また、明細書が、先願主義の下での時間的制約の中で作成されるものであることも考慮すれば、その記載内容が、科学論文において要求されるほどの厳密さをもって論証されることまで要求するのは相当ではないからである」と述べている。 |