知財高裁(令和3年月8)“電動ベッド事件前記アクチュエータのピストンロッドの位置を算出した結果を受けて』の部分・・・・は、フレームの高さが中間停止位置LMまで下降したかの判定について、その判定が何に基づいてされるかを具体的に特定するものであり、本件明細書には、@アクチュエータのピストンロッドの進出長に基づいて、フレームの床からの高さを幾何学的に算出できること、Aピストンロッドの位置を検出する方法としては、モータの回転量を検出してピストンロッドの位置を検出する方法等があること、モータの回転量を検出するセンサとして、ホール素子を利用して磁気的にモータの回転数を検出するものがあるなど、回転数等の計算過程を経てピストンロッドの進出長を検出する手段についての技術常識が記載されている・・・・。そうすると、上記訂正部分は、特許法134条の2第1項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上、特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当せず、同法134条の2第9項で準用する同法126条6項に適合し、また、本件明細書に記載された事項の範囲内でするものであるから同法134条の2第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する」、「原告は、本件明細書にはピストンロッドの位置を『検出』するとの記載はあっても、ピストンロッドの位置を『算出』するとの記載はないから、上記部分に係る訂正は本件明細書の記載に基づかないものである旨主張する。しかしながら、検出は、そこに至るために一連の具体的手順を積み重ねるのが通常であるが『検出』の語義からして、その過程に『算出』に当たる計算過程があっていけないとは解し得ないから『検出』の中には『算出』も含まれるといえ、実際にも『検出』の中に『算出』が含まれるとの前提で『検出』との用語を用いている例が認められる・・・・。そして、前記・・・・のとおり、本件明細書には、モータの回転数等の計算過程を経てピストンロッドの進出長を検出する手段についての技術常識が記載されているから・・・・、上記訂正事項は、ピストンロッドの位置の検出方法を本件明細書に記載の技術常識に従い、より具体的な態様のものに限定したものにすぎないといえる。したがって、原告の上記主張を採用することはできない」と述べている。

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