知財高裁(令和3年7月8日)“電動ベッド事件”は、「甲1発明は、医療用のベッド10に関し、患者の予期されるニーズに従って、あらかじめ選択される垂直方向高さ位置にすることを課題とし、下方中間位置として、『ベッド10に出入りするための便利な高さ』を選択したものである(その高さは、同時に、介護者又は患者の足が存在しても挟み込みが生じない高さである・・・・)。一方、甲3発明は、・・・・車輌用幌開閉装置に関し、幌を閉じる際に物を挟んでしまう危険性があるという問題に鑑み、幌が全閉する手前で自動的に一時停止し、確実に安全を確認することができる車輌用幌開閉装置を提供することを課題とし、さらに操作者に不快感を与えないことを課題とするものである。両者の技術分野は隔絶しているものであり、物を挟んでしまう危険性を回避するとの抽象化された課題としてしか共通せず、このように異なる技術分野の異なる発明から共通の課題を抽出し、相互の技術分野においてその特性に合わせた具体的な解決手段を適用しようとすることは、特段の創意を要することといえる。したがって、甲1発明に甲3発明を適用する動機付けは存在しないというべきである」と述べている。 |