東京地裁(令和3年8月31日)“印刷された再帰反射シート事件”は、「被告らは、仮に被告旧製品の需要が全て原告製品に向かったとしても、原告の逸失利益は、被告旧製品の販売数量に原告製品の限界利益率を乗じた額にとどまるところ、原告製品の販売単価は被告旧製品の●(省略)●程度の価格帯であり、原価等の控除すべき費用も被告旧製品と同じく●(省略)●程度であるはずであり、原告製品の限界利益率は被告製品のそれの●(省略)●程度にすぎないことが推認されるから、特許法102条2項によって推定される損害額は、原告の逸失利益を大幅に超えることとなると主張する。この点、弁論の全趣旨によれば、原告製品の販売単価は、被告旧製品の ●(省略)●程度の価格帯であることが認められるところ、仮に被告旧製品が販売されなかったとしても、原告において、被告旧製品の限界利益と同額の限界利益を得ることができたとは認め難く、この点については、一定割合の推定覆滅を認めるのが相当であるが、他方で、原告製品の販売単価が低価格であることにより、その販売数量が、被告製品の販売数量よりも大きくなる可能性もあるのであるから、大幅な推定覆滅を認めるのが相当であるともいえない」、「被告らが主張する推定覆滅事由のうち、原告製品と被告旧製品の販売単価の差異についてのみ、推定覆滅事由として考慮するのが相当であり、その覆滅割合は2割と認めるのが相当である」と述べている。 |