大阪地裁(令和3年)“二酸化炭素含有粘性組成物事件「被告P3及び被告P4(サイト注:被告P1の会社の取引先のそれぞれ代表取締役と取締役は、本件各特許の発明者である被告P1(サイト注:本件各特許の特許権者である原告を退職して別件訴訟の被告の1つである会社を設立して代表取締役に就任した者)が発明者としての相当の利益を得ておらず、別件訴訟で多額の損害を被ったのに対し、原告は、投下した労力や資金が少ないにもかかわらず、別件訴訟やその他の特許権侵害に基づく損害賠償請求訴訟により、特許法が本来想定する損害額を回収し、それ以上に多額の利益を得ているとし、原告が、被告P1個人や被告P1が有する特許権に基づく製品を取引してきた取引先に対してまで特許権侵害を原因として損害賠償請求までするのは、特許権者として権利の濫用というべきであると主張する。しかしながら、原告が特許権者である以上は、発明者であっても特許権侵害行為について損害賠償責任を免れるものではなく、別件訴訟その他の訴訟において原告が得た損害賠償金が特許権侵害行為との因果関係を欠く不当なものであったと認めるに足りる証拠はない」、「そうすると、原告の被告P3及び被告P4に対する前記・・・・の損害賠償請求権の行使が権利の濫用に当たるとは認められない」と述べている。

特許法の世界|判例集