東京地裁(令和4年)“エアロゾル発生システムのための加熱アセンブリ事件被告は、被告製品について、@2本又は0本連続して喫煙することができる機能がある点、A高いデザイン性がある点、B温度調節が可能である点及びC手動クリーニング機能がある点で、原告製品より優位性があると認められるから、原告が被った損害の額についての推定が覆滅されると主張するしかし、侵害品である被告製品が原告製品よりも優れた機能やデザイン性を有するとしても、そのことから直ちに推定の覆滅が認められるのではなく、推定の覆滅が認められるためには、当該優れた機能やデザインが侵害者である被告の売上げに貢献しているといった事情がなければならないというべきである。そして、上記@ないしCの機能等については、本件全証拠によっても被告製品の売上に具体的にどのように貢献したか明らかではないから、・・・・推定を覆滅する事情と認められないというべきである被告は、原告タバコスティックを利用できる『IQOS互換機』が被告製品の他にも数多く販売されているから、被告製品の販売がされなかったとしても、必ずしも原告製品が購入されることにはならないとして、上記のような競合品の存在は原告が被った損害の額についての推定を覆滅させる事情に当たる旨を主張する。しかし、被告において、電子タバコ端末の市場における原告製品、被告製品及び被告が競合品と主張する製品の市場占有率等の具体的な事情は何ら主張立証されておらず、仮に、原告タバコスティックとの互換性がある被告製品以外の製品が存在するとしても、当該製品が原告製品及び被告製品と競合関係に立つ製品であると直ちに評価することはできないから、そのような製品の存在を・・・・推定を覆滅する事情として考慮することはできないというべきである「被告は、被告製品のプロモーションのために、・・・・イベントを行うなどの営業努力をしており、被告製品の売上げにはこうした営業努力が大きく貢献しているとして、その営業努力が原告が被った損害の額についての推定を覆滅させる事情に当たる旨を主張する。しかし、事業者は、製品の販売等に当たり、製品の利便性について工夫し、営業努力を行うのが通常であるから、通常の範囲の工夫や営業努力をしたとしても、推定覆滅事由に当たるとはいえないところ、本件全証拠によっても、被告の営業努力が通常の範囲を超えるものとは認められず、そのような営業努力を・・・・推定を覆滅する事情として考慮することはできないというべきであると述べている。

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