知財高裁(令和4年2月10日)“頭蓋内ステント事件”は、「相違点に係る本件補正発明の構成は、@パッチ又はパッチの境界線に沿って配置された放射線不透過マーカー(第1の放射線不透過マーカー)・・・・である」、「甲1公報・・・・の記載内容によれば、甲1発明においては、医師が血管内ステントを用いて脳動脈瘤を治療する際に、動脈瘤の領域と被覆材料(パッチ)との位置関係や、脳動脈瘤内に挿入された塞栓物質であるコイルの位置関係を正確に把握することが、技術的課題とされているものと認められる。そうすると、甲1公報に接した当業者は、甲1発明において、上記の各位置関係を正確に把握するための構成を採用することを動機付けられるものといえる。そして、・・・・本件優先日当時、医師が脳動脈瘤の頸部を塞ぐパッチの位置関係を正確に把握するために、パッチに放射線不透過マーカーを配置することは、血管内ステントを用いた脳動脈瘤の治療の技術分野における周知技術であったと認められる。そうすると、上記当業者は、上記@の構成を採ることを容易に想到し得たものといえる」と述べている。 |