東京地裁(令和4年)“有料自動機の制御システム事件被告は、被告ランドリーシステムにおいては、第1硬貨信号・・・・が一旦、ICカードリーダーを介した上で主制御部に出力されており、現金投入の検知信号が『直接』ランドリー装置の動作を制御するために用いられるものではないから、構成要件Bを充足しないと主張する。しかしながら、構成要件Bは『現金投入の検知信号の入力に応じてランドリー装置の動作を制御するランドリー装置制御部』と規定し『検知信号の入力に応じて』という文言を採用している。そして、証拠・・・・及び弁論の全趣旨によれば『応じて』という文言は『相手の働きかけに対応じて行動を起こす』ことを意味するものであり、本件発明の特許請求の範囲及び本件明細書等には、検知信号が『直接』ランドリー装置制御部に出力される必要がある旨の記載はない。そうすると、構成要件Bについて『ランドリー装置制御部が、現金投入検知部から出力された現金投入の検知信号に基づいてランドリー装置を制御する』ことを意味するにすぎず、検知信号が直接ランドリー装置制御部に出力されることを意味するとまで解するのは相当ではない。したがって、被告の主張は、採用することができない被告は、本件明細書等の図1では、現金投入探知部2からの左向きの矢印が直接、有料自動機制御部0に向かっているのであるから、構成要件Bは、現金投入の検知信号が『直接』ランドリー装置の動作を制御することを規定するものであると主張する。しかしながら、本件明細書等には、ランドリー装置の機能に関し『有料自動機制御部0は、現金投入検知部2から出力されたコイン信号に基づいて有料自動機Lの動作を制御するものである』という記載・・・・がされていることが認められ、当該記載の内容に照らしても、検知信号の具体的な経路について特段の制限を設けるものとはいえず、上記図の意味するところが、現金投入探知部2からの検知信号が有料自動制御部0に『直接』出力されない構成を除外する趣旨であるとまで解するのは相当とはいえない。したがって、被告の主張は、採用することができない」と述べている。

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