東京地裁(令和4年3月24日)“コメント配信システム事件”は、「原告は、被告システム1では、多数のユーザ端末は日本国内に存在しているから、被告システム1の大部分は日本国内に存在している、被告FC2が管理するサーバが国外に存在するとしても、『生産』行為が国外の行為により開始されるということを意味するだけで、『生産』行為の大部分は日本国内で行われている、本件発明1において重要な構成要件1Hに対応する被告システム1の構成1hは国内で実現されている、被告システム1については『生産』という実施行為が全体として見て日本国内で行われているのと同視し得るにもかかわらず、被告らが単にサーバを国外に設置することで日本の特許権侵害を免れられるという結論となるのは著しく妥当性を欠くなどとして、被告システム1は、量的に見ても、質的に見ても、その大部分は日本国内に作り出される『物』であり、被告らによる『生産』は日本国内において行われていると評価することができると主張する。しかしながら、・・・・特許法2条3項1号の『生産』に該当するためには、特許発明の構成要件を全て満たす物が日本国内において作り出される必要があると解するのが相当であり、特許権による禁止権の及ぶ範囲については明確である必要性が高いといえることからも、明文の根拠なく、物の構成要素の大部分が日本国内において作り出されるといった基準をもって、物の発明の『実施』としての『生産』の範囲を画するのは相当とはいえない。そうすると、被告システム1の構成要素の大部分が日本国内にあることを根拠として、直ちに被告システム1が日本国内で生産されていると認めることはできないというべきである」と述べている。 |