大阪地裁(令和4年)“空気調和機事件「特許権者が自ら特許発明を実施している場合の独占の利益は、使用者等が自ら発明を独占的に実施し、他社に当該特許発明の実施を禁止したことに基づいて得られた利益に相当する売上額(超過売上)と解される。この場合、相当の対価は『対象商品(実施品)の売上合計額×超過売上の割合×仮想実施料率×対象特許発明の貢献の程度×(1−被告の貢献割合)×共同発明者間における原告の貢献割合』によって算定するのが相当である対象製品群2には、本件発明2−1のほか、●(省略)●特許が実施されており・・・・、また、被告カタログAで訴求されている代表的な技術に関連する特許は、●(省略)●・・・・。このうち、被告のポキポキモータに係る技術は、従来のモータ以上にコイルを密に巻き、それによりモータ効率を向上させるという基本的・汎用的な技術である点で、室外機の圧縮機モータ及び●(省略)●それぞれ重要な技術といえるまた、被告は、対象製品群2の販売に当たり、被告カタログAにおいてムーブアイを大々的に取り上げると共に、そのほかにも脱臭機能、換気機能、サプリメントエアー機能といった付加価値的な部分をも顧客に対し強く訴求している。当時、既にルームエアコンは家庭に広く普及し、省エネ等に係る技術も各社製品において採用されていたと考えられることを踏まえると、付加価値的なものとはいえ、このような他社製品と差別化を図る技術は消費者に対する訴求力を高め、対象製品群2の売上に大きく貢献したものと見るのが相当である。もとより、本件発明2−1も、熱交換器の配置を工夫することで室内機のコンパクト化といった訴求力のある効果を実現し、また、同時にシロッコファンの翼形状の角度を数値限定することで省エネ効果等を実現していることから、対象製品群2の売上に貢献したと見られるものの、その貢献の程度が他の技術と比較して特に顕著であったことまではうかがわれない以上の事情のほか、対象製品群2の売上高には、室内機のみならず室外機の売上高も含まれること等を踏まえると、対象製品群2における本件発明2−1の貢献の程度としては、1%と見るのが相当である」と述べている。

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