知財高裁(令和4年3月29日)“情報記憶装置事件”は、「原告製品には、原告電子部品が保持部材によって保持されて搭載され、同保持部材は、上下2か所がピンにより圧着され、この圧着ピンを破壊しない限り原告電子部品を取り外すことはできず、圧着ピンを破壊した後は、取り外した保持部材を再度圧着することができず、このため、被告製品は、原告製品からその保持部材を破壊して原告電子部品を取り出し、被告電子部品に入れ替えた上、保持部材の4か所に接着剤を付しトナーカートリッジに再度装着して製造されることが認められる。被控訴人らによる被告製品の販売は、本件各特許権の侵害行為である被告電子部品の販売を不可避的に伴うが、上記のとおり、被告電子部品が被告製品と物理的に一体となっていることからすれば、控訴人は、被告製品の販売を差止めの対象とせざるを得ない」、「被告電子部品は、被告製品と物理的に一体であることからすれば、被告製品全体をもって『侵害の行為を組成した物』と認めることが相当である。そして、被控訴人らは、被告電子部品を用いて被告製品を容易に製造できる状況にあるので、被告製品の差止めに加え、被控訴人らが占有する被告製品及び被告電子部品も、併せて廃棄させる必要性が高い。被控訴人らは、・・・・物の発明における物がある構成物の一部をなす場合、その構成物の特許発明の対象である物以外の部分は、同条2項の『侵害の行為を組成した物』とはいえないと主張するが、・・・・採用することができない」と述べている。 |