知財高裁(令和4年6月28日)“マッサージ装置事件”は、「請求項に係る発明が明確に把握されるためには、請求項に係る発明の範囲が明確であること、すなわち、ある具体的な物や方法が請求項に係る発明の範囲に入るか否かを当業者が理解できるように記載されていることが必要である」、「本件特許の請求項1の『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ』という記載から、『マイクロコントローラ』は、『縮小命令セットコンピュータ』であることが把握され、『縮小命令セットコンピュータ』は、本件特許の出願時に公知となっているプロセッサアーキテクチャであることから・・・・、『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ』という発明特定事項は、当業者が十分理解し得るものである。また、請求項1の『前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード』という記載から、『マッサージプログラム』は、『マイクロコントローラによって実行可能な』ものであることが把握され、『マッサージプログラム』が、『マイクロコントローラ』によって実行されるものであることを勘案すれば、『マッサージプログラムのプログラムコード』が、『マイクロコントローラによって実行可能な』ものであることは当業者が十分理解し得るものである。したがって、本件発明1の『縮小命令セットコンピュータであるマイクロコントローラ』及び『前記マイクロコントローラによって実行可能なマッサージプログラムのプログラムコード』という発明特定事項は明確であり、本件発明1は、具体的な物や方法が請求項に係る発明の範囲に入るか否かを当業者は理解することができ、発明の範囲は明確であって、明確性要件を充足する」と述べている。 |